うつ病
人は誰でも、悲しいことや失敗があると気分が落ち込んで、憂うつな気持ちになりますが、通常は時間が立てば元に戻ります。しかし、憂うつな気分や何をしても楽しめない状態が2週間以上毎日のように続き、日常生活に支障を来たすようになってくると、うつ病の可能性が出てきます。うつ病になると、食欲、睡眠、やる気、集中力などに影響し、重症化すると自分を責めたり、死にたくなったり、いてもたってもいられなくなります。
そうなったのは、怠けでもなければ、あなた自身のせいでもありません。うつ病になって脳内の神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリンが乱れているせいで起こることなのです。精神科・心療内科ではそれらの神経伝達物質を調整する薬物療法を受けることができます。
また、うつ病になると物の見方や考え方、行動パターンがネガティヴになりがちで、それがうつ病の治りを悪くしています。例えて言うと、うつ病になるとサングラスを通じて自分や世界を見ているようなもので、全てが暗く見えるわけです。サングラスを普通のメガネに作り変えて、あなたが物事をより現実的に見ることができるようになることが大切で、それがいわゆる認知行動療法と考えてよいです。当クリニックではうつ病の認知行動療法プログラムを受けることができます(カウンセラーに個人で受けることができます。集団をご希望の方が一定数集まった場合は新クラスが結成され、毎週土曜に1時間×約4-5か月開催されます)。認知行動療法でネガティブ思考や行動パターンを少しずつ変えていけば、うつ病がより早く改善できる可能性や、再発のリスクが低くなる可能性も期待できます。
■うつ病の認知行動療法プログラムのカリキュラムの例は以下です
(『不安とうつの統一プロトコル(診断を超えた認知行動療法)』デイビッド・バーロウ著、診断と治療社より抜粋)
・この治療は自分に合っているのでしょうか?
・体験の記録をつける
・やる気を保ち、治療目標を定める
・自分の感情を理解する
・自分の感情反応に気づき、ふりかえる
・感情と、感情に対する自分の反応を観察する
・思考を理解する―最悪を考え、過度に危険を予測する
・行動を理解する①感情の回避
・行動を理解する②感情駆動行動
・身体感覚を理解し、向き合う
・実践する―起こっている状況で感情に向き合う
・不安、抑うつ、関連する感情障害に対する薬物療法
・ここから歩き出す―達成を認めて、将来を見据える
あなたが取り返しのつかないことをして後悔する前に、この苦しい状況を支えてくれる人が見つかるはずです。